2021年5月28日、弊社代表、小田真人が、関西学院大学(兵庫県西宮市)の講義を担当しました。
この講義は、「教養基礎G(環境)」という、環境問題の基礎から企業の活動や行政の役割、ステークホルダー全体とのかかわりを今起きている現実に即した形で展開する一連の講座のうちの一コマをお預かりしました。
今回はメディアなどを通じて見聞きしているSDGsなどの解説ではなく、それらの情報の全体像をどうとらえるか、一つの情報から類推していくかという、「インテリジェンスの仕方」に焦点を当てて解説しました。
オンライン授業のスタイルだったので、できるだけ「お題」を提示して、チャットに書き込んでいただくよう促すと、みなさん大変活発に投稿してくださいました。
「ガソリンが売れなくなる」「電気は足りるのか」「原発が必要なのでは?」「日本車が売れない」「温暖化のためにはよいこと」etc...
ここで、学生のみなさんにお伝えしたのは、以下のような視点で「批判的に読む」ということ。例えば、
分母(40%の分母は何か)
技術(チャージに時間がかかる)
資源(電池に使われる鉱物資源は足りるか)
インフラ(発電・給電設備は間に合うか)
などです。こうした視点で見てみると、数字に振り回されない冷静さを持ち、このテーマから考えられる別の課題や、逆にビジネスチャンスなども見えてきます。
一つの情報をよく読み解いておくとできる新しい疑問を、私たちは「情報のポケット」と名付けています。情報のポケットを増やすことで、毎日流れてくる情報が、点から線、面と複層的になり、説得力をもった知識として蓄積されていきます。
また、このほか、情報を見るときの注意点もいくつかご紹介しました。
これもまた批判的に読むことの一つです。
事実と意見の境目はどこか。発信者はどの立場でこの情報を拡散しようとしているのか。こうした視点を持つことによって、
コロナ禍で注目度が高まった「インフォデミック(劇的な情報拡散)」や「エコーチェンバー(繋がりある狭い情報からの信念の増強)」に対する冷静さを持つことができるでしょう。
環境問題という大きな課題に対して、私たちにできることは、やはり、全員参加での解決です。その難しい合意形成の大前提は、「分断を生まないこと」。100分間をそのようなメッセージで締めくくりました。
学生の皆さんからは、200件を超えるフィードバックをもらいました。
最初から深く考えることで、情報の点が繋がることが分かった
経緯を理解することが大事だと思った
自分は判断力がないと思っていたが、これは訓練次第で磨かれるのだと思った
ネットで得た情報を疑いもなく読んでいた。出典を調べたり他の情報と比較することが大事だと思った。
ルールはありたい社会を作るための道具という言葉が心に残った。
SDGsや気候変動の話題だけでなく、その背景の情報の読み方が分かって有意義だった。
インテリジェンスを学べる場所を増やしていくことは、社会にとって有用だという認識を新たにできたよい時間だったと思います。
なお、来月は、引き続き、JETRO様主催のセミナーや、関西学院大学高等部でのインテリジェンスに関する授業の機会をいただいています。
Comentarios